9年目点検のススメ

アフターサービスの築10年を経過する前に

 

 国土交通省が公表している「長期修繕計画ガイドライン」では、いわゆる大規模修繕工事をおおむね12年ごととしています。

 これにより1回目の大規模修繕工事を10年経過後に検討している管理組合が多く存在します。

 しかし、建物の主要躯体部のアフターサービス期間が10年までとなっているため、これを過ぎてしまうと、たとえ「契約不適合(瑕疵)」と思われる部位があっても、販売主や施工会社に修繕等を請求することが困難となってしまいます。

 そこで、築10年を経過する前に、第三者である専門家による「9年目点検」をお勧めしています。

 


一般社団法人マンション総合サポートセンターでは、必要に応じてマンション販売主・施工会社に対し、瑕疵担保責任・アフターサービスの実施を求める支援を行っています。

 10年目を前に、多少お金をかけてでも、専門家を入れて調査診断をすることを勧めています。

 平成12年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」では新築住宅の瑕疵担保期間の「10年義務化」を定めています。

 これは引き渡された住宅に瑕疵があった場合、その瑕疵を修理したり、賠償金の支払いなどをしなければならないことを意味しています。

 また、この品確法に合わせ、一般社団法人不動産協会でも中高層住宅アフターサービス規準を改定しています。

 施工による不具合が施工者の責任になるかは10年が境目です。だからこそ、計画の起案だけを早めて10年目以内、つまり9年目に不具合を確かめることが賢明です。新築時の施工不良等により、不具合が見つかれば、それを分譲主の負担で直してもらうことができるのです。

 

 

品確法による瑕疵担保期間の「10年義務化」の対象部分

基本構造部分 具体的部位

1.構造体力上主要な部分

 柱、梁、耐力壁、基礎、地盤、土台等の構造躯体

2.雨水の侵入を防止する部分

外壁や屋根の仕上げ、下地、開口部等